私は、一般には天皇家の統治権の象徴と見られているいわゆる三種の神器こそ、言葉ではなく、物に託された、神道のすばらしい教義だと感じている。
それは、政治的な意味と同時に、人が一般的に備えるべき精神的・倫理的価値を見事に象徴的に表しているように思える。
物による象徴であるだけに、言葉では表しきれないような、広くて深い意味にとることができるように感じるのである。
ここでは、政治的意味についてはさておき、三種の神器(玉、剣、鏡)の指し示す宗教的・精神的に価値について、言葉による冗長さを敢えて我慢して、私の感じるところを表現するならば、
玉:愛、情熱、喜び、感謝など、人としての生きるうえでの目的となるべき精神的核の象徴である。
剣:必要な行動を果敢行い、戦い、苦難などを厭わず、自分から向かっていく勇気と行動力の象徴である。
鏡:事象・他人・自分自身を正直・素直に見つめ、理解し、行動に反映すべき曇りのない知性の象徴である。
行動指針や、倫理項目を数箇条にまとめることは、「十戒」や「八正道」など教義があるとされる宗教では普通のことだが、これほど簡素で、誰の目にもわかりやすい教義はないのでは、ないだろうか?
3つにまとめた抽象度の高さを、物によって象徴的に表現することによって、思考というフィルタを通さず、直に心に訴えてくるという点で、他に類を見ないすばらしい教義だと、いつも感動するのである。